指定管理施設のPCはどう準備する?用途・人員体制から考えるキッティングの実際

ここまで、指定管理施設の引き継ぎや、Wi-Fi・ネットワーク環境について書いてきました。

今回は、その流れで指定管理施設で使用するPCの準備やキッティングについて書いてみようと思います。

新しく施設の運営を始める際には、当然ながらスタッフが業務で使用するPCも用意する必要があります。

PCを購入する。

Officeを入れる。

メールを設定する。

一見すると、それほど難しい話には見えないかもしれません。

ただ、実際にはPCを選ぶ前に、

誰が使うのか。

どこで使うのか。

何の業務に使うのか。

持ち運ぶのか。

施設に置きっぱなしなのか。

といったことを考える必要があります。

さらに指定管理の場合、人員体制が完全に固まるより前から、PCを含めたIT環境の予算を考えなければならないこともあります。

個人的には、PCのキッティングで大切なのは、

「PCを使える状態にする」ことより、「その人が初日から仕事を始められる状態にする」こと

だと思っています。

まず決めるのは台数と仕入れ先

新しい施設でPCを準備する際、まず考えるのは台数です。

何人がPCを使うのか。

共有PCでいい部署はあるのか。

一人一台必要なのか。

受付や事務所に据え置く端末は何台必要なのか。

この辺りを整理していきます。

そして、台数がある程度見えてきたら仕入れ先を検討します。

基本的には複数の会社から相見積もりを取り、価格とスペックを見ながらコストパフォーマンスの高いものを選びます。

PCは数台ならまだしも、施設によっては数十台単位になることがあります。

1台あたり数千円、数万円の差でも、台数が増えれば全体の金額は大きく変わります。

そのため、単純にいつも同じメーカー、同じ会社から購入するというより、

その時の価格や構成を見ながら決める

ことが多いです。

全員に同じPCを配るわけではない

PCを選定する際、個人的にかなり重要だと思っているのが、使用者と用途です。

例えば、施設の所長クラスであれば、複数の資料を開いたり、オンライン会議をしたり、さまざまな業務を同時に行うことがあります。

そのため、一般的な事務用途のPCより少しスペックを上げることがあります。

一方で、外出が多かったり、近隣の施設へ移動することが多い人であれば、性能だけではなく持ち運びやすさも重要になります。

そういう場合は、13インチ程度のノートPCを選ぶこともあります。

逆に、

「このPCは基本的にずっと事務所に置いて使う」

というのであれば、デスクトップPCでも問題ありません。

画面サイズを大きくできますし、ノートPCである必要もありません。

つまり、

全員に同じPCを配ればいいわけではありません。

所長なのか。

一般スタッフなのか。

受付なのか。

外に持ち出すのか。

施設内だけで使うのか。

使うシステムは何なのか。

こうした条件を見ながら機種を選んでいきます。

人員体制が決まる前から予算を考える必要がある

指定管理施設のPC準備で難しい部分の一つが、タイミングです。

前回の記事でも書きましたが、次期指定管理者が決まってから実際の運営開始までは、それほど長い期間があるわけではありません。

その間に、

回線。

ネットワーク。

システム。

電話。

PC。

複合機。

さまざまなIT環境を準備していきます。

ところが、その時点では現地の人員体制が完全に決まっていないこともあります。

それでも予算は取らなければなりません。

そのため、

「所長用に何台」

「一般スタッフ用に何台」

「受付用に何台」

といった形で、ある程度運営体制を想定しながら必要な台数を考えます。

実際に誰が使うのか完全に決まってからPCを発注していては、運営開始に間に合わない可能性があります。

人員が完全に決まる前に、人員を想定してIT環境を準備する。

ここは指定管理施設の立ち上げで難しい部分だと感じています。

PCは基本的に新品を用意する

新規で指定管理を始める場合、私が関わっているケースではPCは基本的に新品を用意しています。

前の指定管理者が使用していたPCをそのまま引き継いで使うという形ではなく、新しい運営体制に合わせて新しく用意します。

その方が、

OSの状態。

ライセンス。

セキュリティ設定。

利用者アカウント。

保証期間。

なども整理しやすくなります。

PCそのものだけでなく、その後の運用や管理まで考えると、新しい環境として揃えた方が分かりやすいと感じています。

30台まとめてキッティングすることもある

機種と台数が決まれば、次はキッティングです。

施設の規模によっては、PCを20台、30台とまとめて準備することもあります。

これが意外と時間がかかります。

私の場合、最低限でも、

  • Windowsの初期設定
  • Microsoft Officeなどの設定
  • セキュリティソフトの導入
  • メールアカウントの設定
  • クラウドサービスへのログイン
  • 必要な業務ソフトのインストール
  • ブラウザなどの初期設定
  • プリンタや複合機の設定

といったところまで行います。

PCを箱から出して電源を入れるだけなら、それほど時間はかかりません。

ただ、

「そのPCを渡した瞬間から業務で使える状態」

まで持っていこうとすると、1台ごとの作業量はかなり増えます。

それを数十台まとめて行うので、キッティングは施設立ち上げ時のIT作業の中でも比較的時間を取られる部分です。

アカウントを作っただけでは現場では使えない

例えばMicrosoft 365のアカウントを作成したとします。

管理側から見れば、

「アカウントは発行したので使えます」

という状態です。

ただ、現地スタッフからすると、それだけでは仕事を始められないことがあります。

どこからログインするのか。

メールはどこで見るのか。

パスワードは何なのか。

最初に何を設定すればいいのか。

この辺りで止まってしまう人もいます。

そのため、必要に応じてメールソフトまで設定したり、クラウドサービスへログインした状態にしたりします。

よく使うサービスであれば、ブラウザのお気に入りやショートカットを用意しておくこともあります。

ITに慣れている人であれば、

「このURLからログインしてください」

だけでも問題ありません。

ただ、すべてのスタッフが同じITリテラシーではありません。

設定として正しいことと、現場で使えることは別の話だと思っています。

誰が使うのかを想像しながらキッティングする

PCを準備する時は、実際にそのPCを使う人のこともある程度考えます。

普段からPCを使い慣れている人なのか。

施設運営が中心で、PCを使う時間はそれほど多くない人なのか。

予約管理をするのか。

イベント関係の資料を作るのか。

売上を管理するのか。

複数施設を行き来するのか。

その人の業務によって必要な設定も変わります。

これは、PCのスペックを決める時だけではありません。

キッティングの仕方にも影響します。

例えば、頻繁に使うシステムが決まっているのであれば、すぐ開ける状態にしておく。

プリンタを日常的に使うのであれば、最初から印刷できる状態にしておく。

メールを中心に使うのであれば、メーラーまで設定しておく。

現地でどんな仕事をするのかを想像しながらPCを作ることが重要だと思っています。

そのためには現場とのコミュニケーションが必要になる

ここまで書くと、PCキッティングはIT担当だけで完結する仕事のように見えるかもしれません。

ただ、実際にはそうでもありません。

誰がどんな仕事をするのか。

現場でどんなシステムを使うのか。

どの人が外出するのか。

PCが苦手な人はいるのか。

どんな運用を予定しているのか。

こうしたことは、IT担当だけでは分かりません。

現地スタッフや施設の責任者と話をして、初めて見えてくる部分があります。

日頃からコミュニケーションを取っていると、

「この人はこういう使い方をするだろうな」

「この施設ではこの設定までやっておいた方がいいな」

といったことも分かるようになります。

ITの仕事というと機器やシステムを見るイメージがありますが、実際には人を見ることもかなり重要だと思っています。

運営開始日に使えなければ意味がない

指定管理施設のPC準備では、最終的な締め切りがはっきりしています。

運営開始日です。

4月1日から新しい指定管理者として施設を運営するのであれば、その日にスタッフがPCを使えなければ困ります。

「PCは届いています」

では足りません。

「Officeは来週入れます」

でも困ります。

「メール設定は各自でお願いします」

で現場が止まってしまえば、それも問題です。

少なくとも業務に必要なところまでは、運営開始前に準備しておく必要があります。

前回、ネットワークの記事で、

指定管理施設のITは正常に動いて100点

という話を書きました。

PCについても同じです。

スタッフが普通に電源を入れて、必要なシステムを使い、メールを送り、資料を作れる。

それでようやく通常の状態です。

PCキッティングは「設定作業」だけではない

PCキッティングという言葉だけを見ると、

OSを設定する。

ソフトをインストールする。

アカウントを登録する。

という技術的な作業をイメージすると思います。

もちろん、それも仕事の一部です。

ただ、指定管理施設で実際にPCを準備していると、その前後の方が重要だと感じます。

どんな施設なのか。

誰が使うのか。

どんな業務をするのか。

何台必要なのか。

どのくらいのスペックが必要なのか。

持ち運ぶのか。

どんなシステムを使うのか。

利用する人のITリテラシーはどの程度なのか。

そうしたことを考えたうえで機器を選び、運営開始日までに使える状態へ持っていきます。

指定管理施設のPC準備は、PCを購入して設定することではなく、そこで働く人が初日から仕事を始められる環境を作ること。

何度か施設の立ち上げに関わってきて、今のところ私はそんなふうに考えています。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事